No.20240804 「ヒトはなぜ痔になりやすいか」

」は、日本人の3人に1人はかかっていると言われている身近な病気なのですが、なかなか公には話題にし難いところから、“隠れた国民病”とも言われています。また、痔という漢字は、やまいだれに寺という字を書くように、痔は「お寺に入るまで治らない病気」から由来するといわれています。今回は、大昔から「死ぬまで治らない病気」として、人々を苦しめてきた「痔」についてお話します。

I.何故、ヒトになりやすいのか。

1.進化の過程での副産物

ヒトが進化して、4足歩行から2本足で歩く直立歩行に移行したことは、肛門にはきびしい環境となりました。
4本足の動物の脊椎は水平(心臓から肛門まで水平)で、体重は4本の足に分散しているので、肛門の周囲に大きな荷重がかかりませんヒトが2本足で立つようになると、上位の体重が腰部や肛門の周辺に集中してかかるために、その周囲の筋肉や血管が収縮し、血流が悪くなってうっ血します。うっ血すると老廃物や疲労物質が排出されず、炎症を起こしやすくなり、痔核を発生させるのです。
 しかし、ヒトが2本足で歩くようになって得たメリットもたくさんあります。

*両手を自由に使えるようになり、さまざまな道具をつくり文明を築いて文化を発展させました脳の発達

*大きく重くなった脳をしっかりと支えることができました。

2.老化

 

現代人の体の構造は200万~300万年前の人類と基本的には変わっていません。その頃の人類は草原で狩りをして食料を得ており、40歳以上まで生きることはまれであり、肛門の構造も、40年以上使えるようにできていませんでした。肛門は長さは約3cm前後、胃や腸から続く消化管の出口です。歯状線というギザギザの直腸粘膜と肛門上皮の境目で直腸と肛門に分かれています。肛門はピッタリと閉じることはできず隙間ができます。 隙間を塞ぐため多数の細かい血管や筋線維が結合してできたクッション部分があります。

II.痔の原因

 肛門に負担(圧力)をかける:排便時のいきみ、スポーツ時のいきみ、長時間の座位、下痢、冷えなど

 

III.痔の3大症状

IV.排便に良い姿勢

 痔の予防には、日頃から肛門に負担(圧)をかけないよう、また、排便時に無理ないきみをしなくてもすむように、

便の通り道をまっすぐにする正しい姿勢で排便することが大切です。

**足台(大人で17-18cm、身長により)を使用し、背骨と大腿骨の角度が35度になるように前かがみの姿勢をとると、

 

便の通り道が真っすぐになり、余計ないきみなくストンと排便されます。

まとめ

 痔は、現在の段階では、ヒトの進化の過程からそして肛門の構造上からも、なかなか避けられそうもない病気のようです。

そうであれば、できるだけ痔にならないように、トイレに足台を設置しておいて、痔を予防しましょう。

  最も簡単な痔の予防法 “トイレに1台、足台を!” を合言葉に、足台の設置を広めましょう!