“木”も“おなら”をするのか?とびっくりするような記事「木の中にガスパイプライン?―ガス漏れの場所を特定せよ!―」が京都大学の「最新の研究成果」に20220715に公開され、朝日新聞デジタル20220716にも掲載されました。今までのブログでも“おなら” “ウンコ” “オシッコ”と扱ってきたバンダナ先生としても大変興味あるテーマなので、皆さんにもぜひお知らせします。
詳細は、高橋けんし 生存圏研究所准教授、坂部綾香 白眉センター
特定助教、東若菜 神戸大学助教、伊藤雅之 兵庫県立大学准教授
らの研究グループの研究成果は国際学術誌「New Phytologist」にオンライン掲載
(https://doi.org/10.1111/nph.18283)
メタンは二酸化炭素に次ぐ地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスであり、その地球温暖化への寄与は同じ量の二酸化炭素の28倍と言われています。
近年、湿地に自生する樹木から、これまで知られていなかったほどの大量のメタンが空気中へと放出されているという報告がなされ、植物学や気候科学の分野で大きな論争が巻き起こっています。
I.本当に樹木からメタン(おならの成分)が出ているのか?
出ているならば、どのようなメカニズムなのか?
高橋けんし研究グループの先進技術とクリオ操作型電子顕微鏡を用いての調査結果
1)湿地性樹木のハンノキの幹から大量のメタンが放出されてることを突き止めた。
2)春から秋にかけての葉っぱがついている着葉期間には、メタンの放出量が昼間に増え、夜間に減るという、
季節変化や日内変化を示すことも明らかにした。
3)ハンノキの根の細胞や細胞組織の間に、水が無いミクロな“間隙”(細いガス管)を発見した。
メタンガスが輸送される道筋の1つと考えられる
II. メタンの発生源
1. 人為起源:家畜の牛のげっぷや石炭採掘、ごみの埋め立て処分場など
2. 自然起源:湿地では地中の微生物がつくったメタンが直接地表から放出されるルートのほか、最近は今回の
ような樹木を経由した放出の報告もある。
自然起源のメタンの放出源や量、大気濃度の変動のしくみはまだ詳しくわかっていない。これまで見過ごされてきた放出ルートや量を正確に推定することは、メタンの削減対策を定める上で重要な情報となる。なお、メタンは、主に大気中のOHラジカル(ラジカルとは非常に反応性が高く不安定な分子のこと)と反応し消失する。
III.メタン削減
No.20190627 「おならとゲップの別れ道」にも記載しましたように、牛1頭がゲップやおならとして放出する
メタンガス量は、160~320L/日。また、世界中の牛が出すメタンは二酸化炭素に換算すると全温室効果ガス
の約4%を占めると言われている。
メタン削減に対する対策
1)牛が放出するメタンガスを待機に排出する前に抽出してエネルギー的に有効利用するこころみが、アルゼンチンの農業技術国立研究所で行われている。
2)カシューナッツ殻液(ナッツを包んでいる殻を搾取した液)を配合した飼料を使用
牛は人間が消化することのできない牧草を、エネルギーに変えることができる。それを可能にしているのが、牛の一番目の胃である
ルーメン、そしてルーメン内に生息する微生物が飼料を発行する過程でメタンが発生する。
→カシューナッツ殻液の有効成分がメタンを発生する菌を抑制する→メタンガスは抑制、牛のエネルギ-を生み出す菌は増加
3)メタン発酵とバイオガス生産システムの利用(農林水産省等)
生ゴミ・食品残渣、家畜排泄物をメタン発酵させ、エネルギー電力として、液肥料として利用する。
Ⅳ.木は酸素も排出する
私達は草を食べても消化できない、
牛は草を食べてエネルギーを作り、牛乳・牛肉を提供してくれる。
牛肉うまい!牛乳おいしい!緑大好き!
樹木や家畜の飼育過程から出るメタンを上手く有効利用して、人も牛も樹木も共存していきたい。