お風呂に入ると、ホッとしますよね。
あのホット感大好きです。
お風呂のホッと感には劣りますが、オシッコの後のホッと感もなんか救われた感じですよね。
今回は、「オシッコにかかる時間は、3kg以上の哺乳類はみんな約21秒と同じ」というお話。
さあ、みんな、イライラしたり、行き詰まったら、トイレに行って、21秒間オシッコしよう!
「体重3kg以上の哺乳動物の排尿にかかる時間は21±13秒と一定である」
Duration of urination does not change with body size
PJ. Yang et al. PNAS August 19, 2014 111 (33) 11932-37.
という論文について、4人の医師が楽しく議論し合う内容が、臨床ニュースで
取り上げられていました(20190927m3.com)。私も素晴らしい論文だなと思って
調べてみたところ、なんとイグ・ノーベル賞2015年物理学賞を受賞している。受賞のヤングさんはインタビューで、「比較的大きな種には「縮尺法則」が驚く程一定している。様々な目的に対応する拡縮可能なデザインがあるかもしれない」と。
論文の内容は、「米アトランタ動物園の動物たちを対象に排尿の高速ビデオ撮影と流量測定を行い、体重による排尿の流体力学を検討した。その結果、体重3kgを超える哺乳類が排尿で膀胱を空にするのにかかる時間はネコからゾウまで一定で、21±13秒の範囲に収まることが分かった。」というのです。すなわち、オシッコにかかる時間は、ネコ、ヒト、ウシ、ゾウまで、約21秒(8秒~34秒)と一定だというのです。これは、ブログで皆さんにお知らせねばとその論議をまとめてみました.(ちなみに、ネズミのオシッコは約1秒未満。小動物の排尿時間は大きく異なる。)
みなさん、早速、ストップウォッチをもって、トイレで確かめてください。
ちなみに、旭川医科大学病院臨床研究支援センターの松本成史先生の調査によると、日本人の排尿時間は男性で平均29.00±20.62秒、同女性で18.05±12.48秒となり、男性の方が10秒以上長かった、ということですが、やっぱりヒトも20~30秒(21±13秒)と同じ。オシッコの時間はおどろくほど一定している。
そこで、まずは、「排尿時間は約21秒と一定」の謎を3方向から検討した。
1、約21秒前後の排尿が哺乳類には最適なのだろうか?
この論文によると、
・尿道の長さや直径、膀胱の容量は動物の体重に比例するけれど、膀胱の圧は体重にかかわらず一定ということです。
これらの動物の尿路もヒトと同様、移行上皮細胞(この細胞は伸び縮みするので、オシッコを貯めることができる)とすると、その伸びる割合は種を超えてほぼ一定ということです。ゾウだから細胞サイズが大きいとか、すごく伸びるということではなく、
ネコもヒトもゾウも膀胱の伸びる割合は同じということです。
1-1.膀胱や尿管の細胞に負荷を掛けず、最適な時間で排尿するようにできているらしいのです。
・外敵のことを考えたらなるべく短時間でオシッコを切り上げた方がよい。
・短く、8秒未満で膀胱を空にしようと思ったら、圧がかかりすぎて尿管が破裂する。膀胱の壁が耐えきれなくなってしまう。
1-2.尿道の径がもうちょっと広ければスピードは速くなるのに、適度に狭くなっているということは。
・適度に時間をかけるメリットが他にあるんじゃないか。
・時間が短いとマーキングが十分にできないんじゃないか。
・おしっこには、自分の存在意義を出すための役割がるんじゃないなか。
・シャーと数秒で出すより、21秒くらいかけて、ある程度振りまく方がよいのじゃないか。
1-3.この論文では、身体の大きさと尿道の長さ、尿道の径は比例しており、また、膀胱の容量も身体の大きさに比例していることが示されている。すなわち、身体の大きさによって尿道、膀胱のサイズが決まっているということ。
・尿道の径が広いと締められないし、狭いと排尿時間が長くなる。
・身体の大きさに対して膀胱が小さいと回数が増えるし、大き過ぎると重たくなってしまって、外敵から身を守る(逃げる)のに不利になってしまう。そのバランスが重要。
・排尿に時間がかかり過ぎると敵から逃げるのに大変だし、ある程度溜められないとトイレばかり行って不便だし、尿管に負荷がかかるのも困るし、ある程度マーキングもしたい。
すなわち、これらの条件の中で行き着いた最速、最適な時間が21±13秒で一定であったということなのか?
全ての生物の体というものは、その生物種に合ったベストな形に最適化されてきている。
2、21秒かけて排尿するメリットがあるのか?
生物には何百万年、何千万年という進化の結果「これが今生きる上で一番よい」という最適解がある。
20秒くらいかけて排尿するメリットというのは、あるかもしれない?
2-1. メンタルヘルスの領域に「暗示放尿」という瞑想的手法がある。
・暗示放尿とは、排尿時には目を閉じて、「体の内側から外側へ、嫌なものをおしっこに乗せて全部排出する」というイメージを頭に浮かべて、放出する感覚に集中する方法。
・精神面を整えるという意味合いで、アスリートが試合前によくやる方法。
・20秒くらいあれば集中しやすいし、メンタルを整えやすい、20秒くらいの感覚が一番気持ちよいと言えるのかもしれない。 すなわち、
20秒くらいが整える時間にちょうどいい。
2-2. 精神の浄化作用に「カタルシス」という精神療法がある。
*カタルシスとは、精神医療においては「抑圧されていた心理を意識化させ、鬱積した感情を除去することで症状を改善する精神療法」を言います。
・人間は基本的に、体の内から何かを外に出すという行為を「気持ちよい」と感じる。
歌とか、声、汗、精液、便、尿も同じで、「内から外に出す」という行為そのものが気持ちよい。
・膀胱圧やスピード感、持続時間、すべての条件がベストと感じられるのが、21秒であると。すなわち
尿の場合には、一番気持ちよさを感じる持続時間が「21秒」なのかもしれない
2-3. 超一流のビジネスパーソンは秒単位で時間を切り詰めて生きているけど、おしっこの時間は削らない。
・『一流のビジネスマンは2秒でおしっこをする』っていう本は、ない。
・一流のビジネスパーソンであっても、むしろ、「この排尿時間が気持ちよい」と思っているのでは。
・2秒でおしっこすると体に悪い気がする。尿道も切れるかもしれない。本能的な調整。
・排尿1回にかける21秒が哺乳類に等しく必要な時間だと考えると、身体の思うまま、本能に正直に生きることが、身体にとって一番気持ちがよいということなのかもしれない。 よって、
人生には切り詰めちゃいけない時間もある。「オシッコの21秒を切り詰めてはいけない」
3.、排尿にかかる21±13秒を有効活用する
3-1. リラックスに必要な最小限の時間に何か意味があるのではないか
・排尿するとホッとする感じがする。短すぎるとリラックスしきれない。
・「ちょっと落ち着く」のに必要な最小単位が20秒前後なのだとしたら、たまたまの21秒なのではなくて、何かにリンクしている可能性はないか。例えば、交感神経有意から副交感神経優位への切り替え時間
・欠伸(あくび)は最初から最後までで20秒くらい?……副交感神経優位になる。
・排便には副交感神経しか関わらないのに、排尿には交感と副交感の両方の自律神経が関わる
・人間の排尿は、下腹神経(交感神経)と骨盤内臓神経(副交感神経)の2種類の自律神経支配である。
・排尿時はやっぱり副交感神経優位になっていた方がよい。
・現代社会はほっといてもストレス過多なので、排尿時くらいはリラックスする→21秒じっくり排尿することは重要。
・排尿中も「はよ出ろや」と思ってしまと、交感神経優位になり過ぎて、副交感神経への切り替えができない。
今ここにある尿道をとおるオシッコの動きに集中することによって、
交感神経優位の状態から、副交感神経優位に切り替わり、ホッとする。
3-2. マインドフルネス排尿
・小便器のハエのマークに当てる仕掛けがあったとしても、あえて目を閉じて、全身で小宇宙(コスモ)を感じ、それを己の尿道に集中させて押し流す。マインドフルネス排尿。
・忙しい現代人こそ、無駄な時間と思わず、心を整える時間として排尿の21秒を有効活用するのがよい。
・排尿はそもそも尊い行為です。
バンダナ先生のまとめ
・オシッコにかける約21秒は私たち哺乳類にとって皆同じで最適な時間です。
・オシッコに、内なるストレスを全て排出し、副交感神経優位になり、ホッとする。
オシッコの時間21秒に心を整え、優しい心になって、トイレから戻ろう!
バンダナ先生のおまけ
辛い時は、オシッコが出なくてもトイレに行って、21秒間泣いてもいいよ!
イグノーベル賞:
1991年に創設された「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に対して与えられるノーベル賞のパロディーである。
13年連続日本人が受賞しています。バンダナ先生も? いや、やはりノーベル賞を!