No.20180317「イモムシは、えらい!」

感動、イモムシには腸内細菌はいないらしい。

 

 最近、人の腸内、肌、口腔内、子宮内に存在する常在菌の乱れが健康状態に関わることが明らかとなり、

それらの微生物の集まりを解析して、薬や食品、健康検査等に応用するベンチャー企業が続々誕生している

そうです。

 

 例えば、人の肌に常在するバクテリアと肌の状態、健康や疾患の関係に注目し、皮膚からの分泌物である

皮脂を餌とする肌の常在菌の平衡状態の解明し、疾患や健康状態、スキンケアをモニターするキット、

S-Kinがあります(株ワールドフージョン)。 その他にも、子宮内の常在細菌と妊娠の関係、肌と口腔内常

在細菌の関係など解析が進んでいるそうです。

 

 しかし、なんと言っても今や、腸内細菌ブーム。

 

 ヒトをはじめ多くの動物は、腸内細菌の恩恵を受けて健康な生活を送っています。腸内細菌は、食物の分

解だけでなく、免疫や代謝の調節、病原体の排除など私たちに有益な役割を果たしており、腸内細菌なしで

は健康な生活は送れないと言われており、腸内細菌の存在は普遍的とさえ思われています。

 

 ところがです。昨年の夏のNatureという雑誌に、

イモムシには宿主と共存するする常在細菌がいない、すなわち、イモムシの腸内には、腸内細菌がいないと

いう報告がなされたのです。

 

 すごいんです、イモムシ16科124種について調べ、イモムシの糞の微生物も調べているのです。

 なかなかできるもんじゃないですよ。124種のイモムシのウンコを採取するなんて。

 (研究者って、うんこの採取みたいに地味な仕事を毎日コツコツとやってるんです。)

 (研究上、ネガテイブな結果を出すのは大変なのです。全部調べて否定しないといけないので)

 

 じゃ、どうやって生きているのか。

 

 あの小さな口で、ちまちまと葉っぱを食いまくっているあのイモムシは、全部自分の消化酵素で葉っぱを

分解しているというわけです。けなげじゃないですか。他人(腸内細菌)の手助けを借りず、自分で食べたも

のは自分で消化し、糞を出す。見習いたいもんです、自分のことは自分でやる!

 

 この論文の著者は、ナナフシ(七節、草食性昆虫)も腸内細菌が存在せず、進化の過程で細菌からペクチン

(植物の細胞壁の繊維の一種)を分解する酵素を獲得したらしいと報告しています。

 

 どうも、イモムシ、アリ、ナナフシなどの昆虫だけでなく、脊椎動物にも腸内細菌がいないものがいるら

しいです。

 

 私は、小さい頃から、“ガ” がきらいで、見るとゾッとするんです。

 大抵の人は、チョウはきれいと思っても、ガは嫌いですよね。

 

 チョウとガは、どちらも昆虫綱鱗翅目(チョウ目、またはガ目ともいう)に分類される昆虫で、ほとんど

が「ガ」の仲間で、「チョウ」に分類されるものは鱗翅目のごく一部だそうです。

 

 一般に、チョウは昼間に活動し、ガは夜に活動し、チョウの幼虫はアオムシ、ガの幼虫はイモムシ、ケム

シというようですが、幼虫がケムシのチョウも、アオムシからガに成長するものも多く、例外だらけのよう

です。

 

“チョウ”か“ガ”か分からないイモムシが、脱皮して、夜が開けてみたら、“ガ”だったら、がっかりで

しょうね。

 

 **腸内細菌については、私のホームページ「バンダナ先生の1つ賢くなったね」コーナーの 

 “小腸のがんはなぜ少ないのか?”をご覧ください。 

 

 

 今日は、結構、真面目な話でした。

 明日は、イモムシのウンコつながりで、ウンコの話をしましょう。